Marty Party
〜猫バカ上等つれづれ雑記〜
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その1 「里親募集」

 それは2006年7月に入ってすぐのこと。どうやら今年はまとまった夏休みは取れなさそうだ〜ということが判明し、旅行に行けないんだったらいっそこの夏から猫を飼い始めるかね!と、思いきる理由ができてしまったその時に、ちょうど大阪府の行政収容猫の飼い主探しページでその猫に出会ってしまったのでした。

 いつかは猫を飼うぞー飼うぞーと言い続けて早数年。ここ一年は猫の飼い方雑誌を定期購読までして情報収集にこれ努めていたのですが、そうやって入れ込んでいる割には別に純血種とかじゃなくてもいいやという気持ちは強かったので、雑種で充分とずっと思っていたのですね。
 となると選択肢は「誰かから貰う」とか「里親募集をしている猫を引き取る」になるわけですが、知り合いにママン猫を飼ってるような人はいないし、それにどうせならやはり処分寸前な子をできるだけ助けてあげたいよねということで、ずっと上記のHPにチェックは入れていたのです。

 そして、右のこの写真にグッと来てしまったのが、運命の出会いでありました。
 いや〜ん、やんちゃ丸出しvv しかもこんなに真っすぐカメラ目線で訴えられてはたまりませんv
 それでも一生責任持ってやらねばならん生き物のことですから、数日間はじっくり考え、ダンナともみっちり話し合い、最終的に決断をして問い合せのメールを出したのが7月6日。まだ他に里親の申し出は来ていなかったようだったので、これも縁と思ってうちで引き取ることに決定したのでした。
 はっはっは、三年も四年もうだうだ迷っていたくせに、決めるとなると早い早い。──というか、事前にそれだけ長考してりゃあ充分だよってことでしょうか。
 何はともあれ、ちょうど15日からの三連休で受け入れ準備を整えてから迎え入れたらちょうどよかろうということで、引き取りは7月22日土曜日ということに相成ったのでございます。
 さてそれから大急ぎで猫の為の部屋を整えるべく、半分荷物部屋と化していた私のパソ部屋を大掃除です。
 アメリカから持って帰ってきていたクイーンサイズのソファベッドを処分してそこに大きめの猫ケージを買い、トイレも食器もキャリーバッグも何もかも、一気に揃えて準備万端。ちゃんと保護家庭で与えてもらってたのと同じ餌も用意して、カモンにゃんこ!と気合い充分当日を待ったのでありました。

 ちょっとここで、このにゃんこが保護された経緯についてわかってることを記しておきます。
 通常は、収容された猫はセンターの方で世話をされてるものらしいのですが、この子の場合はまだ離乳前なのに兄弟猫と共に府民施設前に捨てられており(今まで離乳前の子猫が収容センターに入る事はまずなかったとのこと)、しかも三匹兄弟のうち一匹はほとんど死にかけてるような状態であったので、たまたまそこに居合わせたボランティアさんが自宅で預かって、面倒を見てくれていたのでした。
 大阪市と堺市を除く大阪府下では、通常飼えなくなった猫は飼い主が府民センターというところに連れて行き、その後、そこから処分施設に運ばれるのだそうです。その際窓口で手続きすると手数料がいるので、受付時間外に置き去りにしていかれることがあるそうです。そのお話をボランティアさんから聞いた時には、なんて無責任な奴だ!とムカムカ来たものですが、でも飼い主が直接持ち込んだ場合は生後間もない猫は即処分となるそうなので、その人物が正規の手続きをとっていたならこの子はとっくに命がなかったのかあと思うとなんだか複雑です。…でもどっちにしても、生まれた仔猫を育てられないんなら最初っから避妊してやれよ!と、私なんかは心の底からそう思うのでありました。

 それはさておき。
 引き渡し当日にボランティアさんに連れられてやってきた猫は、ちっちゃい割ににゃーにゃー訴える声はしっかりしている物怖じしないチビちゃんでありました。
 キャリーバッグから出してもらった途端、「ここドコ? これダレ?」とばかりにふんふん匂いを嗅ぎに来て、なんとも好奇心いっぱいの元気ちゃん。しかも初対面のほんの初っ端から盛大にゴロゴロ喉を鳴らして懐いてきてくれるような甘えっ子で、もうすっかり夫婦ともデレデレのメロメロですよ(笑)

 事前に頂いていた写真(→)で、しっぽが長いことはわかっていたのですが、実際そのしっぽをピーンvと立ててスリスリしにきてくれるとなると幸せメーター急上昇。ああっやっぱりしっぽの長い猫はイイ!
 それに胸元の白い部分が、なんてふわふわしてるのでしょう。仔猫の毛並みってこんなに柔らかかったんだあと、なんだか感動しちゃいました。
 肉球(これも重要ポイントv)は、黒が二つにピンクが一つ、ピンクに黒の斑点がぽちっと入っているのが一つと、なかなか面白い柄でありました。本にゃんが来る前は「肉球はやっぱりピンクがいいなぁv」なんてちょこっと思ってたものですが、なんのなんの。ふにふにぽにょぽにょあったかい実物肉球を前にしたらば、色なんてなんでも全然オッケーですわ♪
 しかもあんたその腕のくっきりとしたトラ柄は! 阪神ファンであるうちの夫婦へのアピールなの?そうなの??(違います。──が、既に何でも嬉しい猫バカ状態の飼い主には全てが良く見えるものなのである/笑)

 ……とまあ、かれこれそのような次第で、うちににゃんこがやって来ました。
 推定年齢2.5ヶ月、オス、キジトラ白。
 命名:マーティ。
 カントリー歌手Marty StuartのMartyです。元気でやんちゃで愛嬌があって息が長いっていうイメージで、少々悪ガキでもいいから健康で長生きしてくれよって願いもこめて。それと、Martyという名は語源的には軍神マルスから来てるらしいので、強そうでいいかもという気持ちでつけました。
 ついでに、mighty Martyって韻を踏んでていい感じだよね!とか、この猫雑記コーナーの名前として「Marty Party」なんてのもいいじゃなーいv とか(上記カントリー歌手のベスト盤に「Marty Party Hit Pack」というアルバムがある)、そんなことも考えての命名でした。…が。
 マーティが家に来てからひと月半。毎日やんちゃ全開の豆台風っぷりに、しまったもうちょっと大人しめの名前にしてやれば良かったかと、ほんのちょっぴり思うこの頃ではあったりもするのでした(笑)。

(9/6/06)  

その2 「打倒コクシジウム」

 マーティがうちに来たちょうどその週末から丸一週間、うちの一番近所の動物病院は、たまたま夏のお休みに入ってました。
 まあ、保護された時にちょっと早めのワクチン接種も猫エイズ検査もやってもらっていることだし、健康上は特に問題ないんだろうと、気軽に構えていた新米飼い主。ただちょっと、時々プシップシッとくしゃみをしていることと、目ヤニが出ていることが気にはなったので、お休み明けに病院の様子を偵察がてらちょっと診てもらって来ようかねーと、実に軽い気持ちで出かけて行ったのでありました。
 そしてこの新米飼い主は、動物病院に診察してもらいに行くなら最新のウンチも持ってくもんだということもつゆ知らず、受付で「今日は便はお持ちでは…あ、ないですかぁ」と言われて初めて、ああっそういうものだったのか!なんて思っていたというていたらく。で、先生に、検温でオシリに突っ込んだ体温計にちょっぴりついた便を検査しておきましょうかと言われて、ハイお願いしますと小さくなって恐縮したものでありました。
 ──その結果。
「えーっと、お腹に虫がいますね」、と。
 …は??
「コクシジウムという虫の卵が出ましたので…これだけ少量の便からでも見つかったってことは、多分ギッシリいますねこれは」
 なんですと〜〜〜。(脱力)
 うう、『ギッシリ』て。一部表現にプチッと問題はありそうな気はするが、まあでもその後懇切丁寧な解説をしてくれたんで良しとしよう…(^^;)。ともあれ虫下しの飲み薬と、クシャミ目ヤニの為の点眼&点鼻薬をもらってよれよれ帰ってきたのでした。
 そのような次第で、その日からコクシジウムとの闘いが始まったわけであります。カーン☆

 もらってきた虫下しは一週間分。とろりとした白い液体状のこの薬を、一緒につけてくれた注射器でもって一日一回飲ませてやらねばなりません。
 しかし、にゃんこに薬を飲ませるのなんて初めての経験ですから、なにせ勝手が分かりません。とりあえずダンナにマーティをしっかり抱えて保定してもらい、私が無理矢理注射器を口に突っ込んで薬を発射するという二人掛かりでトライしてみました。
 いやもうマーティのイヤがること!
 そりゃあそうです。わけもわからずギューッと押さえ付けられて、口に変なもんを突っ込まれるんですから、猫としては全力で逃れようとしますわな。こっちも勝手が分からないが故に、口の真正面からグイッと注射器突っ込んじゃうし。その上、あれあれうまく薬液が出ないよ、ああ暴れるなマーティ! もう一度だ!! と、そりゃもうぎゃーぎゃー大騒ぎ。
 ようやく一回分の薬を飲ませた時には、抑え役のダンナはさんざ引っ掻かれて手首から出血してるわ、マーティもまた暴れた際に自分のキバで口の中を傷つけたらしくてうっすらピンクに血が滲んでるわ。──しかもその週からダンナが海外出張に出てしまう…ってことは、これを私が一人でやるのかー!と思うと、思わずくらりと目眩がしたものでありますよ。
 しかしやるとなったらやらねばならん!!(決意の握りコブシ)
 というわけで遅まきながら投薬のコツを調べたところ、口の端から奥歯の間に向けて注射器を射し込んで飲ませると良いとのこと。うう、先に調べときゃよかった気の毒なことをした。
 ともあれ翌日の分からは、後ろからしっかり抱えておいて思いきってピュッ!と飲ませることに成功したのでありました。やっぱりこっちがびくびくしてるとかえって良くないようで、毅然と押さえて素早くやるのが良かったみたいです。
 まあ、言ってもまだ仔猫の筋力では人間の押さえ込み力には勝てないですからね〜。本人は毎日ミギャミギャ抗議と無駄な抵抗を繰り返しておりましたが、結局は敗北を受け入れるしかないのでした。ほほほ!

 とまあ、そのようにして一週間が過ぎ、再び病院へ。今度はしっかり朝のほかほかウンチを携えて参りましたとも。
 ──その結果。
「うーん、まだいますねコクシジウム。もう一週間、がんばってお薬やってみてください」
 あああ、そうですか〜〜。いやもうコツもわかってきたことだし頑張りますが。
「あと回虫もいるみたいなんで、これは今日虫下しを飲ませておきますから。明日のウンチで出るでしょうから念のためチェックしといて下さいねー。細くて短いスパゲッティみたいなのが便の中に混じってると思いますんで」
 ス、スパゲッティ…(;;)。あのっ、やっぱり表現に問題アリだと思うんですけどセンセイ!!(心の声)
「それと、猫砂についたコクシジウムの卵が毛づくろいの時にまた口に入っちゃうと、いくら薬を飲ませても台無しなんで。できればウンチの度に毎回トイレを洗って猫砂も全て交換した方がいいですね」
 あああああ、あの高いチップを毎日総取っかえですかあー? いや値段はともかく、かさ張って重いから買って来るのが大変なんですけどーっ。
 …と心の中では悲鳴を上げつつ、ハイわかりましたと頭を下げて、また一週間分の薬をもらって帰って参りました。
 ごめんよマーティ、また一週間毎日薬だ。頑張ろうなお互いに。
 と、言ってやっても奴には通じちゃいないでしょうけれども、とにかく再びウギャウギャ嫌がるにゃんこを押えつけては薬を飲ませる日々が始まったのでありました。

 今度はウンチの度に猫砂を全部捨ててトイレ丸洗いという作業も加わって、これまたえらい手間でしたわー。

人の苦労も知らぬげにすーかー眠る
マーティさん推定3ヶ月・コクシジウム入り。

洗い替えとしてもう一つトイレセットを購入もして来たし、出費の方もかさむったら。幸いトイレ洗いの方はダンナがせっせと手伝ってくれてだいぶ助かりましたけど、いやあほんとに動物飼うって思った以上に大変大変。
 しかしにゃんこの為ならえんやこら。ホームセンターでカート山盛りの猫砂(というか木のチップ。重い。)を買い込んで来て、頑張って毎日総入れ替えを致しましたとも。
 そうして更に一週間後、またまた病院へ。
「う〜〜〜〜〜ん、もうちょっと!なんですけど、しつこいですねえー。ちょっと薬の量を増やして、一日二回にしてみましょうか」
 ううう、今度こそと思ったのに、まだですかぁ。トイレもちゃんと綺麗にしてたのにぃ。
「もう一週間、頑張って下さいね!」
 ………ハイ…。(がっかり)

 もうこうなると、人間の方も猫の方も諦めが入るというか何と言うか。マーティの奴にしても、イヤなことはイヤに違いなくて毎回うみゅ〜〜〜と抗議の声は洩らすのですが、さすがにもう三週目ともなるとどんなに暴れても嫌がっても結局は押さえ込まれて飲まされるのがわかってきたらしく、ある朝抱きかかえて注射器を構えたところ、目を閉じて肚の底からフウゥ〜…と、深い深いため息をついたのには思わず大笑いしてしまいましたよ。(スマン、マーティ^^;)
 そんな人と猫との努力はついに実り、一日二回の薬が奏効したのか、次の週の通院時にはようやく晴れて「やあコクシジウムも全部落ちましたね、良かったですねー」とのお言葉を頂くことができたのでした。めでたい!!
 苦節三週間、毎日頑張った甲斐があったよ。マーティお前も偉かったvv
 ──とか何とか言いつつ、お腹のムシが綺麗にいなくなったところで、その日そのままワクチン接種の運びとなったのでした。いやぁ、めでたいと言いながら痛い思いをさせてごめんよマーティ(笑)

 でもこれでもう、しばらく病院には来なくていいからね♪ ……去勢手術の頃までは。(爆)

(11/30/06)  



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