原文ではMark。訳語では「マルク」となっていますが、恐らく単に「マーク、印」の意でしょう。
通常「市」における取り引きにはマルクが貨幣として用いられています。 マルクの素地は木製で、無地のものをレモス城砦で生産しており、主な城砦および主工舎において、各城砦や工舎の印とその価値とを押印するという形で造幣されています。
押印のためには、鍛冶師ノ工舎で作られた特別の機具が必要であり、さらに押印後に意図的にキズが加えられることにより、偽造は困難なものとなっているということです。 印のデザインそのものも大変複雑なので、正規の機具なしで複製をつくるのは難しいとされています。
需給バランスをとるため、また、擦りへった古いものと交換するために、毎巡年多くのマルクが生産されています。
マルクには、1/32から始まって1/16、1/8、1/4、1/2、1、2、5、10マルクまであり、特に多額の取り引きのために100マルクも少々作られていますが、一般に流通する類のものではないようです。
マルクには「32」「8」「2」などの数字のみが押印されており、その数字の上に線が引いてあれば、そのマルクは1マルク以下の小額貨幣であることを示しており、線が数字の下に引かれていれば、それは額面通りの価値を持つことを示しています。
通常一番小額の1/32マルク玉一つで、泡菓子6個が買えます(ピイマアは9個せしめていましたが/笑)。
楽器は普通2マルクから、早駆け獣は9マルクから。早駆け獣の鞍は、古い革を使った安物なら3マルクくらいですが、城砦ノ太守のための特注品となると12マルク以上はします。
1マルクでどれほどのものが買えるかについては、実際には各巡年の収穫期に、商人、工舎ノ長、城砦ノ太守が集まって調整の場を持ち、翌巡年分の価値について決定しています。
豊年には装飾用の帯が2マルクとなる、ということなので、メノリが火蜥蜴の留め金つきの帯の代金として2マルク玉を差し出そうとしたというのは、まず順当なことだと言えるでしょう。